病院を受診すべき時(国内、海外)

  具合が悪ければ日本国内なら,いつでも病院を受診可能であり,専門医にかかることもそれほど困難なことではありません。しかし,医師・看護師・病院等,医療資源には限りがあり,昨今、特に地方はスタッフ不足で受診まで長時間待つケースも増えています。ましてや海外では,国の制度によっては救急外来で5~6時間待たされるということも少なくありません。以前に当方が勤務していたカナダがまさに,そういった状態であり,家庭医にかかるまで1週間,家庭医から専門医に紹介されるまでが数ヶ月,さらに専門医で実際の治療が実施されるまで数ヶ月待たされるという事態が起きています。そこで,カナダでは,救急を呼ぶべき時,医者に行くべき時,家庭での対応方法といったテキスト※が医師会などから配布されており,無駄な受診をしないよう啓蒙が行われています。日本や他の国でも参考になると思いますので,その内容の一部他,私見を交えてをご紹介させていただきます。

 賢い健康判断のための4項目。1.ホームドクターと良い関係を持つ。受診時には,主症状,症状の発症時期などを整理して医師に伝える。渡航歴も非常に重要。最近の検査結果,内服薬があれば持参(お薬手帳でも良い)。医師には,確かめたいことを遠慮せず聞く。診断名,治療方針,今後の受診予定などをメモする。2.救急外来の利用を限定する。本当に救急な時だけ受診する。救急車を呼んだ方が良いか,今すぐ救急外来を受診した方が良いかについての相談窓口は,国内であれば地域によっては#7119に電話すれば対応可能であり,必要に応じて病院も紹介してもらえます。お子様の場合は,#8000で“こども医療電話相談”につながります。先進国であれば,同様なシステムがありますので,お確かめください。3.検査を把握し,手順を守る。自分の受ける検査について,どのような検査なのかをしっかり把握する。検査前の準備(絶食など)は必ず守る。検査結果は必ずコピーをもらって保管する。レントゲン写真などはスマホで簡易的に撮影しておくと,後に他の医師などに相談するときに有用です。4.選択と決断。いかなる処置・薬・検査・手術にも長所とリスクがあります。必要性を考え,理解できない時は納得がいくまで医師に説明してもらいましょう。

 最後に,救急車を呼ぶべき,救急外来を直ぐにでも受診すべき症状を部位別に挙げておきます。1.頭。突然の激しい頭痛。突然の40℃以上の発熱。歩けないほどのふらつき。2.顔。片側の麻痺,痺れ。ゆがみ。ろれつが回らない。視野欠損。物が二重に見える。3.胸部・背部。突然の胸痛。呼吸困難。締め付けられる・圧迫されるような痛みが3分以上続く。痛む部位が移動する。4.腹部。突然の激しい腹痛。持続する腹痛。激しい下血,吐血。5.手足。突然の痺れ,麻痺。6.他。意識障害。けいれん。冷や汗を伴う嘔吐。広範囲のやけど。高所からの転落による頭部外傷。上記は主として大人の場合ですが,お子様のケースでは,加えて,次の場合,救急車を呼ぶか早急に救急を受診してください。1.全身・顔のやけど。2.5分以上続くけいれん。3.異物誤飲で呼吸困難。4.繰り返す嘔吐で意識がない。5.発熱。三ヶ月未満の幼児で38℃以上。水分がとれない,尿が出ない。6.蕁麻疹。食べてから数時間以内に呼吸困難が出現,繰り返す嘔吐。

 以上,病院を受診すべき時についての概要をお話しいたしましたが,実際の場面では迷うことも多いかと思います。海外においてはジャムズネット等のネットワークも有用ですので,ご利用ください。

2019年2月2日
ジャムズネット東京理事 仲本光一 
※上記は他誌に掲載されたものを許可を得て一部改変し、ご紹介させていただきました。

ジャムズネット東京 問い合わせメールアドレス info@jamsnettokyo 

※健康ハンドブック 救急911を呼ぶべき時 医者に行くべき時 家庭での対応方法  在カナダ日本国大使館 http://www.ca.emb-japan.go.jp/JapaneseSite/Medical/HealthwiseHandbook2013.pdf  

※日本国内、#7119情報(外部リンク)